第一章 総則
(契約の目的)
第1条 事業者は、介護保険法令の趣旨に従い、入居者がその有する能力に応じ、可能な限り自立した日常生活を営むことができるように支援することを目的として、入居者に対し、その日常生活を営むために必要な居室及び共用施設等を使用させるとともに、第3条及び第4条に定める介護福祉施設サービスを提供します。
2 事業者が入居者に対して実施する介護福祉施設サービスの内容(ケアプランを含む)(以下「施設サービス計画」という。)は、別紙『指定介護老人福祉施設重要事項説明書』に定めるとおりとします。
3 入居者は、第13条に定める契約の終了事由がない限り、本契約に定めるところに従い、サービスを利用できるものとします。
(施設サービス計画の決定・変更)
第2条 事業者は、介護支援専門員に第1条第2項に定める施設サービス計画の作成に関する業務を担当させるものとします。
2 施設サービス計画は、介護支援専門員が施設サービス計画について、入居者及びその家族等に対して説明し、同意を得た上で決定します。
3 事業者は、6か月に1回、もしくは入居者及びその家族等の要請に応じて、介護支援専門員に、施設サービス計画について変更の必要があるかどうかを調査させ、その結果、施設サービス計画の変更の必要があると認められた場合には、入居者及びその家族等と協議して、施設サービス計画を変更するものとします。
4 事業者は、施設サービス計画を変更した場合には、入居者に対して書面を交付し、その内容を確認するものとします。
(介護保険給付対象サービス)
第3条 事業者は、第2条に定めた施設サービス計画に沿って施設サービスを提供します。
(介護保険給付対象外のサービス)
第4条 事業者は入居者との合意に基づき、以下のサービスを提供するものとします。
(1)入居者が選定する特別な食事の提供
(2)入居者に対する理美容サービス
(3)別に定めるところに従って行う入居者からの貴重品の管理
(4)事業者が特別に定める教養娯楽設備等の提供あるいはレクリエーション行事
2 前項の他、事業者は、居室及び食事のサービスを介護保険給付対象外のサービスとして提供するものとします。
3 事業者は第1項及び第2項に定める各種のサービスの提供について、必要に応じて入居者の家族等に対してもわかりやすく説明するものとします。
第二章 サービスの利用と料金の支払い
(サービス利用料金の支払い)
第5条 入居者は、要介護度に応じて第3条に定めるサービスを受け、重要事項説明書に定める所定の料金体系に基づいたサービス利用料金から介護保険給付額を差し引いた差額分(自己負担分)に居住費及び食費を加えた額を事業者に支払うものとします。
2 第4条に定めるサービスについては、入居者は、重要事項説明書に定める所定の料金体系に基づいたサービス利用料金を支払うものとします。
3 前項の他、入居者は、入居者の日常生活上必要となる諸費用実費(おむつ代を除く)を事業者に支払うものとします。
4 前3項に定めるサービス利用料金は1か月ごとに計算し、入居者はこれを翌月末日までに事業者が指定する方法で支払うものとします。
5 1か月に満たない期間のサービスに関する利用料金は、利用日数に基づいて計算した金額とします。
(利用料金の変更)
第6条 前条第1項及び前条第2項に定めるサービス利用料金などについては、介護給付費体系の変更があった場合、事業者は当該サービス利用料金を変更することができるものとします。
2 入居者は、前項の変更に同意することができない場合には、本契約を解約することができます。
第三章 事業者の義務等
(事業者及びサービス従事者の義務)
第7条 事業者及びサービス従事者は、サービスの提供にあたって、入居者の生命、身体、財産の安全・確保に配慮するものとします。
2 事業者は入居者の体調・健康状態からみて必要な場合には、医師又は看護職員と連携し、入居者からの聴取・確認の上でサービスを実施するものとします。
3 事業者及びサービス従事者は、入居者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため、緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入居者の行動を制限する行為を行わないものとします。
4 事業者は、入居者が受けている要介護認定の有効期間の満了日の30日前までに、要介護認定の更新の申請の援助を行うものとします。
5 事業者は、入居者に対する介護福祉施設サービスの提供について記録を作成し、それを2年間保管し、入居者もしくはその代理人の請求に応じてこれを閲覧させ、複写物を交付するものとします。
(守秘義務等)
第8条 事業者、サービス従事者又は従業員は、介護福祉施設サービスを提供する上で知り得た入居者又はその家族等に関する事項を正当な理由なく第三者に漏洩しません。この守秘義務は、本契約が終了した後も継続します。
2 事業者は、入居者に医療上、緊急の必要性がある場合には、医療機関等に入居者に関する心身等の情報を提供できるものとします。
3 事業者は、第17条に定める入居者の円滑な退所のための援助を行う場合に、入居者に関する情報を提供する際には、あらかじめ文書にて入居者の同意を得るものとします。
第四章 入居者の義務
(入居者の施設利用上の注意義務等)
第9条 入居者は、居室及び共用施設、敷地をその本来の用途に従って、利用するものとします。
2 入居者は、サービスの実施及び安全衛生等の管理上の必要があると認められた場合には、事業者及びサービス従事者が入居者の居室内に立ち入り、必要な措置をとることを認めるものとします。但し、その場合、事業者は、入居者のプライバシー等の保護について、十分な配慮をするものとします。
3 入居者は、ホームの施設、設備について、故意又は重大な過失により滅失、破損、汚損もしくは変更した場合には、自己の費用により原状に復するか、又は相当の代価を支払うものとします。
4 入居者の心身の状況等により、特段の配慮が必要な場合には、入居者及びその家族等と事業者との協議により、居室又は共用施設、設備の利用方法等を決定するものとします。
第五章 損害賠償(事業者の義務違反)
(損害賠償責任)
第10条 事業者は、本契約に基づくサービスの実施に伴って、自己の責に帰すべき事由により入居者に生じた損害について賠償する責任を負います。第8条に定める守秘義務に違反した場合も同様とします。
但し、入居者に故意又は過失が認められる場合には、入居者の置かれた心身の状況を斟酌して相当と認められる時に限り、損害賠償責任を減じることができるものとします。
2 事業者は、前項の損害賠償責任を速やかに履行するものとします。
(損害賠償がなされない場合)
第11条 事業者は、自己の責に帰すべき事由がない限り、損害賠償責任を負いません。とりわけ以下の各号に該当する場合には、事業者は損害賠償責任を免れます。
(1)入居者が、契約締結時にその心身の状況及び病歴等の重要事項について、故意にこれを告げず、又は不実の告知を行ったことにもっぱら起因して損害が発生した場合
(2)入居者が、サービスの実施にあたって必要な事項に関する聴取・確認に対して故意にこれを告げず、又は不実の告知を行ったことにもっぱら起因して損害が発生した場合
(3)入居者の急激な体調の変化等、事業者の実施したサービスを原因としない事由にもっぱら起因して損害が発生した場合
(4)入居者が、事業者もしくはサービス従事者の指示・依頼に反して行った行為にもっぱら起因して損害が発生した場合
(事業者の責任によらない事由によるサービスの実施不能)
第12条 事業者は、本契約の有効期間中、地震・噴火等の天災その他自己の責に帰さない事由によりサービスの実施ができなくなった場合には、入居者に対して既に実施したサービスを除いて、所定のサービス利用料金の支払いを請求することはできないものとします。
第六章 契約の終了
(契約の終了事由)
第13条 入居者は、以下の各号に基づく契約の終了がない限り、本契約に定めるところに従い事業者が提供するサービスを利用することができるものとします。
(1)入居者が死亡した場合
(2)要介護認定により入居者の心身の状況が自立または要支援と判定された場合
(3)事業者が解散命令を受けた場合、破産した場合又はやむを得ない事由によりホームを閉鎖した場合
(4)施設の滅失や重大な毀損により、サービスの提供が不可能になった場合
(5)ホームが介護保険の指定を取り消された場合又は指定を辞退した場合
(6)第14条から第16条に基づき本契約が解約又は解除された場合
(入居者からの中途解約等)
第14条 入居者は、本契約の有効期間中、本契約を解約することができます。この場合には、入居者は契約終了を希望する日の7日前までに事業者に通知するものとします。
2 入居者が、第1項の通知を行わずに居室から退去した場合には、事業者が入居者の解約の意思を知った日をもって、本契約は解約されたものとします。
3 第5条第5項の規定は、本条に準用されます。
(入居者からの契約解除)
第15条 入居者は、事業者もしくはサービス従事者が以下の事項に該当する行為を行った場合には、本契約を解除することができます。
(1)事業者もしくはサービス従事者が正当な理由なく本契約に定める介護福祉施設サービスを実施しない場合
(2)事業者もしくはサービス従事者が第8条に定める守秘義務に違反した場合
(3)事業者もしくはサービス従事者が故意又は過失により入居者の身体・財物・信用等を傷つけ、又は著しい不信行為、その他本契約を継続しがたい重大な事情が認められる場合
(4)他の入居者が入居者の身体・財物・信用等を傷つけた場合もしくは傷つけられる恐れがある場合において、事業者が適切な対応をとらない場合
(事業者からの契約解除)
第16条 事業者は、入居者が以下の事項に該当する場合には、本契約を解除することができます。
(1)入居者が、契約締結時にその心身の状況及び病歴等の重要事項について、故意にこれを告げず、又は不実の告知を行い、その結果本契約を継続しがたい重大な事情を生じさせた場合
(2)入居者による、第5条第1項から第3項に定めるサービス利用料金の支払いが3か月以上遅延し、相当期間を定めた催告にもかかわらずこれが支払われない場合
(3)入居者が、故意又は重大な過失により事業者又はサービス従事者もしくは他の利用者等の生命・身体・財物・信用等を傷つけ、又は著しい不信行為を行うことなどによって、本契約を継続しがたい重大な事情を生じさせた場合
(4)入居者が連続して3か月を超えて病院又は診療所に入院すると見込まれる場合もしくは入院した場合
(5)入居者が介護老人保健施設に入所した場合もしくは介護療養型医療施設に入院した場合
(契約の終了に伴う援助)
第17条 本契約が終了し、入居者が当施設を退居する場合には、入居者の希望により、事業者は入居者の心身の状況、置かれている環境等を勘案し、円滑な退居のために必要な以下の援助を入居者に対して速やかに行うものとします。
(1)適切な病院もしくは診療所又は介護老人保健施設等の紹介
(2)居宅介護支援事業者の紹介
(3)その他保健医療サービス又は福祉サービスの提供者の紹介
(入居者の入院に係る取り扱い)
第18条 入居者が病院又は診療所に入院した場合、3か月以内に退院すれば、退院後も再び当施設に入居できるものとします。但し、入院時に予定された退院日よりも早く退院した場合等、退院時に当施設の受入準備が整っていない時には、併設されている短期入所生活介護の居室等をご利用いただく場合があります。
2 入居者が病院又は診療所に入院した後6日以内に退院した場合は、入居者は別に定める料金体系に基づいた所定のサービス利用料金から介護保険給付額を差し引いた差額分(自己負担分)および居住費を事業者に支払うものとします。但し、入院期間が6日を超える場合には、入居者は所定のサービス利用料金を支払う必要はありません。
(居室の明け渡し)
第19条 入居者は、第13条第2号から第6号により本契約が終了した場合において、すでに実施されたサービスに対する利用料金支払義務及び第9条第3項(原状回復の義務)その他条項に基づく義務を履行した上で、居室を明け渡すものとします。
2 入居者は、第17条に定める援助を希望する場合には、援助が完了するまで居室を明け渡す義務を負いません。
3 第1項の場合に、1か月に満たない期間のサービスに関する利用料金の支払い額については第5条第5項を準用します。
(身元引受人及び残置物の引取等)
第20条 事業者は入居者に対し、身元引受人を求めることがあります。ただし身元引受人を立てることができない相当の理由が認められる場合はこの限りではありません。
身元引受人は、次の各号の責任を負います。
(1)入居者が疾病等により医療機関に入院する場合、入院手続が円滑に進行するように協力すること。
(2)入居者が入居者に係る諸費用を支払わない場合、支払いが円滑に行われるよう必要な措置及び協力をすること。
(3)契約終了の場合、事業者と連携して入居者の状態に見合った適切な受入先の確保に努めること。
(4)入居者が死亡した場合の遺体および遺留品の引受、その他必要な措置をすること。
2 事業者は、入居者が身元引受人を定めない場合には、自己の費用で契約者の残置物を処分できるものとします。その費用については、入居者からの預り金等自己の管理下にある金銭がある場合には、その金銭と相殺できるものとします。
(一時外泊)
第21条 入居者は、事業者の同意を得た上で、外泊することができるものとします。この場合、入居者は外泊開始日の2日前までに事業者に届け出るものとします。
2 前項に定める外泊期間中において、入居者は別に定める料金体系に基づいた所定のサービス利用料金から介護保険給付額を差し引いた差額分(自己負担分)および居住費を事業者に支払うものとします。
第七章 その他
(相談・苦情解決)
第22条 事業者は、その提供したサービスに関する入居者等からの相談・苦情に対して、相談・苦情を受け付ける窓口を設置して適切に対応し、解決に向けて取り組むものとします。
(緊急時の対応)
第23条 事業者は、サービス提供中に入居者の健康状態が急変した場合、必要に応じ家族または緊急連絡先へ連絡するとともに、速やかに医師等に連絡を取る等必要な措置を講じます。
(協議事項)
第24条 本契約に定められていない事項について問題が生じた場合には、事業者は介護保険法その他諸法令の定めるところに従い、入居者と誠意をもって協議するものとします。
(裁判管轄)
第25条 この契約に関してやむを得ず訴訟となる場合は、入居者および事業者は、入居者の住所地を管轄する裁判所を第一審管轄裁判所とすることを予め合意します。 |